3年程前より、下唇の左側にできもののようなものがありました。



初めてご相談させていただきます。
3年程前より、下唇の左側にできもののようなものがありました。
痛みもなく、生活に支障がないため気にしておりませんでした。

しかし、最近になってかなり大きくなってきており、食事の際など気になるようになりました。腫瘍なのではないかと今になって心配になっています。

どうにか解決したいと思い、ご相談させていただきました。
口腔外科なのか皮膚科なのかなど、対応される領域がわからないのですが、安原歯科医院様でご対応いただくことは可能でしょうか。

ご回答いただけましたら幸いです。


A.こんにちは、安原歯科医院の安原豊人です。
お写真拝見いたしました。
口唇粘液嚢胞は、小唾液腺から分泌される粘液の流出障害によって生ずる組織内の貯留嚢胞です。多くは、導管の損傷によって粘液が結合組織内に溢出貯留し、嚢飽を形成します。腺管の閉塞により粘液が腺管内に貯留して、嚢胞を形成する場合もあります。
導管の損傷、閉塞の原因として、反復性の慢性外傷や習癖、軽微な慢性炎症が考えられています。
好発部位は、下唇、舌、頬粘膜などに分布する小唾液腺に関連して発生することが多く、下唇のものは下口唇粘液嚢胞と呼ばれ、特に正中と口角の間に多いものです。
症状は、粘膜面から半球状に膨隆する直径5〜15ミリの軟らかい小嚢胞で、無痛性、波動を触れます。
表在性のものは内容液が透視でき、青紫色をしていますが、深在性の場合には正常な粘膜で被覆されていることもあります。また咬傷による破裂を繰り返したものは、瘢痕により粘膜が白色をしているものもあります。
通常、自然治癒は望めないことが多いので、治療は摘出手術が局所麻酔下にて行われます。数糸縫合します。手術時間は15分程度です。術後は、多少腫れますが、食事ができないようなことはありません。約一週間で抜糸します。その後の予後は良好なものです。ごく稀に口唇の麻痺感覚が出る方がおられますので、注意が必要です。また創部の安静と習癖(咬唇癖、吸唇癖)などがあればその改善や刺激因子の除去が再発防止には大切です。もちろん当院口腔外科が専門でいつでも手術可能です。ご安心ください。
手術以外の治療法として、OK-432嚢胞内注入療法を行うことがあります。
OK-432(ピシバニール)という薬剤を注入する方法です。組織に炎症反応を起こさせて、腫れを収縮させる作用があることから、がま腫の治療などに応用されています。
副作用として、発熱などがみられることがあります。局所麻酔で行われることが多いものです。大きさによっては、2、3回行うことが必要になりますが、嚢胞内にこの薬を薄めた液を注入します。
通常、口唇粘液嚢胞に関しては、健康保険はききませんが、
http://homepage3.nifty.com/fukase/OK-432/index.html
をご参考にされると良いでしょう。当院でもブランダン−ヌーン嚢胞やガマ腫に対して積極的にOK-432嚢胞内注入療法を行っています。

口腔外科専門医 安原豊人

口腔外科専門医 安原豊人

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