主人のことでご相談させていただきます。
痛みはないそうです。
歯並びの段差との緩衝や気になって舌で触ることで、水膨れが破裂し、赤くなり…というのを繰り返すうちに、中からイボのようなものが出てくるような症状もあるようです。
本人は自然治癒をすると放っておいたようですが、やはり一度きちんと受診をしていただき、必要な治療をするよう勧めております。
A.こんにちは、安原歯科医院の安原豊人です。
写真拝見いたしました、口唇粘液嚢胞と考えます。
口唇粘液嚢胞は、小唾液腺から分泌される粘液の流出障害によって生ずる組織内の貯留嚢胞です。多くは、導管の損傷によって粘液が結合組織内に溢出貯留し、嚢飽を形成します。腺管の閉塞により粘液が腺管内に貯留して、嚢胞を形成する場合もあります。
導管の損傷、閉塞の原因として、反復性の慢性外傷や習癖、軽微な慢性炎症が考えられています。
好発部位は、下唇、舌、頬粘膜などに分布する小唾液腺に関連して発生することが多く、下唇のものは下口唇粘液嚢胞と呼ばれ、特に正中と口角の間に多いものです。
症状は、粘膜面から半球状に膨隆する直径5~15㎜のほぼ球状の軟らかい小嚢胞で、無痛性、波動を触れます。
表在性のものは内容液が透視でき、青紫色をしていますが、深在性の場合には正常な粘膜で被覆されていることもあります。また咬傷による破裂を繰り返したものは、瘢痕により粘膜が白色をしているものもあります。
通常、自然治癒は望めないことが多いので、治療は摘出手術が局所麻酔下にて行われます。数糸縫合します。手術時間は15分程度です。術後は、多少腫れますが、食事ができないようなことはありません。約一週間で抜糸します。その後の予後は良好なものです。また創部の安静と習癖(咬唇癖、吸唇癖)などがあればその改善や刺激因子の除去が再発防止には大切です。ご希望なら受診してみてください。